直売所やスーパーの販売棚を真っ赤に染めて、新潟に春の訪れを告げる「越後姫」。県内有数の出荷量と出荷額を誇る新発田市(しばたし)の農林水産課で「越後姫」を担当し、生産農家の奮闘ぶりもよく知る横野さんにインタビューしました!
新発田市の「越後姫」農家さんの印象は?
「越後姫」は聖籠町の新潟県園芸研究センターで研究が行われて生まれたわけですが、当時、近隣の旧 紫雲寺町(現 新発田市)の農家が開発を手伝うことになったとお聞きしています。そういう背景もあってか、新発田市では「越後姫」に力を入れている農家さんがたくさんいて――しかも皆さん、生産に真摯に向き合い、向上心を持ってまじめに取り組んでいる方ばかり。越後姫をどんどんPRしていきたい新発田市にとって、とても心強い存在です。また、紫雲寺地区にあるJA北越後さんでは新規就農の方を対象にした研修制度が整っており、年々、若い農家さんも増えてきています。地元の生産者さんと師弟関係を築き、独り立ちするまで手厚いサポートを受けられると好評で、なかには市外からやってきて新発田で農家になる夢を叶えた人もいらっしゃいますね。
新発田オリジナルの特大越後姫「姫のてまり」とは?
新発田市産越後姫のブランド力強化のために、2022年春に誕生した「姫のてまり」は、3月下旬~4月中旬にのみ味わうことのできる特別なイチゴです。通常の越後姫の中から、45グラム以上の4Lサイズ、糖度は10.5度以上のものを厳選して「姫のてまり」として出荷します。ひときわ大きく、丸みを帯びたかわいらしい形をしていることから「まるで姫と戯れるてまりのようだ」と、その名が付けられました。大きさと糖度の基準を設けて厳選するため、出荷数は少なく限定品なので、出会えたらラッキー!と思っていただければ(笑)。とてもかわいい特別なパッケージで販売されますので、贈り物としてもおすすめです。見かけた際はぜひお手に取ってみてください。
愛情を込めて生産していることを実感
農家の皆さんにお話を聞くと、やはり「越後姫」の栽培は難しいようで、実がなるまでの間、気温や日照量に気を配るのはもちろん、病気や虫の対策を徹底しなければいけません。また、収穫の時期も大変で、たくさん採れるシーズンはそれこそ体力勝負になります。ただ、生産者の方と会うたびに、越後姫を我が子のように――それこそ姫のように、愛情を込めて育てていると実感させられるんです。今年の2・3月に、新発田市内28店舗の飲食店で越後姫を使ったスイーツやグルメを食べられる「いちご一会めぐり」というキャンペーンを開催したのですが、その試食会で生産者の方が「大切に育てた姫が、このキャンペーンでどんなふうにお色直しをして出てくるのか楽しみです」とおっしゃっていて、その言葉がとても心に響きました。
越後姫を美味しく食べるコツは?
まずは、やっぱりそのまま頬張って食べていただきたいですね。華やかな香りと、ジューシーで口いっぱいに広がる甘みは越後姫ならではの美味しさですので! …ちなみに私は、紫雲寺地区の出身で、祖母が家庭菜園でイチゴを育てていたのですが、収穫したイチゴを潰して砂糖と牛乳をかけて食べるのが大好きでした。それがどうも新発田では一般的な食べ方らしく、イチゴを潰す専用のスプーンがあるくらいなんですよ(笑)。また、新発田市の「いちご一会めぐり」というイベントにもぜひ皆さんにご参加いただき、越後姫を使ったおいしいスイーツや和菓子、ピザやフレンチといった新鮮な味わい方も楽しんでいただければと思います。